造園学からジオパーク学へ、糸魚川ジオパークカレッジ

第一期入学説明会の風景
第一期入学説明会の風景
竹内 愼治 デザイン ロゴマーク
竹内 愼治 デザイン ロゴマーク

・背景

 2009年、東京大学庭師倶楽部による糸魚川地域環境資源調査研究と地域環境資源計画を目的として東京糸魚川会・糸魚川市の依頼と協力により、糸魚川地域の調査・研究・計画を行った結果、地域の環境資源の豊富さと人ポテンシャルの高さから、2012年より糸魚川全体の大地・生態系・文化に対して、保護と活用・観光と文化交流・教育をテーマとした糸魚川ジオパークをフィールドとして、そのコアにカレッジ形式の活動コミュニティーを構築する意図から、糸魚川ジオパークカレッジを開校し、お陰様で現在第7期を迎えております。

また、卒業生らのご活躍により2014年から糸魚川ジオパークカレッジ付属研究室を設立し現在に至っています。

  ・目的

糸魚川地域全体をキャンパスと考え、そのコアとなる部分をカレッジとして、地域の環境資源からポテンシャルの発掘と発展を目的に新領域創生の形で独自の学問となるジオパーク学の構築を受講生と講師が一体となり、学び、考え、体験し、学問を通じて個々の価値観を構築する事を目的としています。

又、人ポテンシャルの発掘と発展を目的に新領域創生の形で独自の学問となるジオパーク学構築を求める事から、将来は市内大学の設置を熱望しており、その為、糸魚川地域における教育機関・産業・団体・行政との協同体制の他、首都圏や他の地方都市を対象に、大学・企業・団体・行政への発信・供給・提供などの試みを実施し、文化・産業・教育・等、糸魚川地域ブランドの確立から文化都市としての持続可能な環境計画を実施し、寄与貢献できる事を目的としています。

 

第一期生卒業式の風景
第一期生卒業式の風景

今までの主なカリキュラム

とジオパーク学における座学と基本講座

アドベントゃーツーリズム

トレジャーツーリズム1・翡翠探検

トレジャーつリズムⅡ・化石探検

スピリチュアルツーリズムⅠ・月光浴

スピリチュアルツーリズムⅡ・奴奈川探検

皆さんで一緒に考える座学

当カレッジの座学は聞くだけではありません、皆さんの糸魚川を伝え更に深く意見交換して探求する事もジオパーク学の一つです。

親切丁寧論文指導

「論文なんて怖くない」とシンプルに考えて下さい。

大切なことはオリジナリティーです。皆さん皆さんはは学者出身の講師陣より深く糸魚川を知っています、決して教科書に無い糸魚川の体験日記をお話しください、後は講師を助手としてうまく使い論文に大切な客観性を共に模索して一生ものの糸魚川製知的財産が完成です。

芸員の先生方による特別講義

OBによる講座

OGによる講座

当カレッジ1期生・奴奈川学園の流れをくむ、糸魚川ジオパーク検定達人第一号の横川女史による講義は「糸魚川土産」と題してシンプルなお米のおにぎりでおもてなし、と言うお話です。

 

POLANDの白魔女さんが講師に来てくれました。

 

ギムナジュームの試み

ギムナジュームとはヨーロッパにおいて高校の様なものです。

基礎学力をつけて大学や社会に出る前の子ども達を対象に、当カレッジでは社会勉強や自由研究のテーマに取り組み、大人たちに発表する機会を作っています。

今回発表した金子君は、糸魚川にもタタラ製鉄があり、砂鉄から刀を作っていたのではという仮説から、実際に糸魚川の砂鉄から鋼を取り出すまでの実験を行い、その結果を発表してくれました。

魔女香水実験


発表論文一覧

 

§6・2012年度~現在迄のジオパークカレッジ卒業論文一覧

 

 

 

 

 

糸魚川ジオパークカレッジ卒業論文一覧(第1期~12期)

 

2012年度(1)

天然記念物ヒメハルゼミの北限地と陸巻貝シーボルトコギセルの生息地としての白山神社社叢に関する研究・・・井伊 正憲

糸魚川に於ける西浜七谷を結ぶ古道に関する一考察・・・伊藤 和子

糸魚川ジオパークの自然ある街の潜在能力と可能性・大和川地域の貴重性に関する研究・・・猪又 寛

長者ヶ原遺跡の縄文土器と周辺地域の縄文土器との比較研究・・・菊地 和彦

地形と生態系に関係する世界ジオパーク糸魚川の東と西の風土に於ける比較研究・・・小杉 正一

糸魚川市内上刈地域に有する農業用水路の活用による自家発電の可能性に関する研究・・・斉藤 政子

ジオパークを生かした街づくりの核となる神話と伝説のふる里糸魚川に関する研究・・・中村 栄美子

糸魚川の地形を利用したアスリートの育成と企業の相乗効果に関するメカニズム研究・・・松澤 克矢

世界ジオパーク認定を起点とした糸魚川地域における環境変化の変遷に関する研究・・・丸山 由衛

糸魚川のヒスイにおける物質性と史実性に関する世界ジオパーク認定後の考査研究・・・三谷 弘

糸魚川独自の石と植物を使った盆景の作庭手法に関する研究・・・室 詔子

糸魚川の風土と伝承におけるShamanismの研究・・・山岸 千奈美

糸魚川考査研究『なるべくしてなった!』日本で最初の世界ジオパーク・・・横川 美津枝

糸魚川におけるあらゆる面からのヒーリング効果に関する研究・・・渡辺 留美

2013年度(2)

糸魚川真柏に関する特徴の研究・・・五十嵐 正

糸魚川地域に於ける姫と石の史実検証に関する研究・・・池田 直子

糸魚川地域における農林水産資源と人文や自然環境資源がもたらす高齢社会に良い地域に関する研究・・・伊藤 富士雄

糸魚川地域に於ける地滑り地帯と古来からの地名に関する関連性に就いての研究・・・内山 伸一

糸魚川ジオパークの水資源に於ける多様性と可能性に関する基礎研究・・・恩田 恵美子

世界ジオパーク糸魚川・24のジオサイト×24の楽しみ方×24のストーリーの考査研究・・・斉藤 一美

ジオトープ・・・竹内 慎治

誰でも行ける癒しのジオサイトに関する考察と研究・・・堀田 須美江

マイコミ平の千里洞における植生の観察と今後の展望に関する研究・・・山本 愛一

里山を活用した糸魚川ジオパークにおける生きがいネットワーク就いての事例研究・・・山本かずみ

2014年度(3)

廃村になった分校のささやかな修復と今自分が出来る人と自然の関わりに関する研究・・・猪又 厚子

糸魚川能生地区に於ける地すべりの歴史とジオパークの防災意識向上に関する研究・・・内山 伸一

新潟県西部浦本地区に於ける方言の伝承とフィールドに関する研究・・・木嶋 照男

糸魚川の民話に於ける子供たちへの風土継承に関する研究・・・倉又 登美子

月不見の池誕生と観光資源としての周辺域に於けるジオパーク的な価値に関する研究・・・小林 峯登

陸の孤島というジオパークの50年後交通インフラによる都市形成に関する研究・・・瀬下 忠彦

ジオトープづくりによる環境教育の推進・・・竹内 愼治

糸魚川ジオサイトマイコミ平に於けるジオツーリズムの展開に関する研究・・・平野 悟

糸魚川ジオパーク浦本地区に於ける観光と漁業に関する伝統的生活と工芸の研究・・・松嶋 洋子

糸魚川地域をプロトモデルとした守る農地と変える農地、~守る変えるを考える研究~・・・松澤 克矢

里山の活用と可能性に関する研究~ムーミン谷構想~・・・山本 かずみ

2015年度(4)

糸魚川市の「住みにくさ」に関係する思考及び習慣についての研究・・・斎藤 泰子

根知谷山寺集落における里山の自然・文化・伝統の活用に関する研究・・・山口 久男

糸魚川ジオパークにおける公共施設のジオラマ活用手法と可能性に関する研究・・・小林 早文

魚川市内における独身者の出会いの機会と包摂に関する考察・・・瀬下 忠彦

糸魚川姫川地域における災害と字名の関連に関する研究・・・内山 伸一

糸魚川長者ヶ原集落の暮らしをcase studyとした現代社会との暮らし比較研究・・・樋口すみ子

親不知を歩くことの研究・・・平野 悟

2016年度(5)

ジオパークにおける自然材料の保護と利用についての考察~プチ・ジオトープの販売の是非をめぐって~・・・竹内 愼治

糸魚川の地形と文化を考査した道の歴史とジオパークの街つくりに関する研・・・内山 伸一

糸魚川の地酒に関する魅力の研究・・・樋口 すみ子

ジオパークで農山村は甦るか・荒廃する根知地区の推移と展望に関する研究・・・佐藤 和雄

ジオパーク式相続~地域の思いをツナグ、『ジオ的相続』のススメ~・・・松澤 克矢

糸魚川ジオパーク式愛着形成論・・・横澤 富士子

糸魚川ジオパークにおける地形と文化の残存融合財産に関する保護と活用の研究・・・高澤 智恵

糸魚川ジオパークにおける固有の丘陵地を題材にした風土と文化の変遷に関する研究・・・山口 和男

糸魚川ジオパークにおける公共施設の活用手法と可能性に関する研究・・・小林 早文

勾玉の魅力に関する研究・・・平野 悟

フォッサマグナミュージアムの案内方法に関する研究・・・小野 雅春

2017年度(6)

子育てとカウンセリングを通して体験した事の記録と考査・・・横澤 富士子

糸魚川姫川流域における自然災害・歴史・文化に関する研究・・・山口 久男

長者ケ原考古館の案内方法に関する研究・・・小野 雅春

糸魚川市駅北復興まちづくり計画と糸魚川沖の漁業をテーマにしたジオサイトの研究・・・松嶋 洋子

Internetを用いたGEO PARK学における環境保護と利用促進の在り方に関する研究・・・大竹 正人

糸魚川の空間と地域資源から活性できる地域コミュニティー計画・・・西連地 志穂

雑木林を活用した美山わんぱく広場の整備プロジェクトに関する研究・・・竹内 愼治

糸魚川市浦本地区における地形と施設の有効活用に関する研究・・・島田 由起子

糸魚川市大規模火災について風土と歴史から考察した火災のない街創りに関する研究・・・内山 伸一

平成29年度 糸魚川ジオパークカレッジ 一年生「体験の記」・・・武田 尚子

糸魚川地域における水道水と自然の関わりについての考察・・・立川 節子

2018年度(7)

スクールカウンセラーから見えてくる児童・生徒の心理に関する理解と対応の研究・・・横澤 富士子

新潟焼山における自然災害・歴史・防災に関する研究・・・山口 久男

ミュージアムにおけるガイド方法についての展開と考察・・小野 雅春

糸魚川ジオパークにおける市民主体のコミュニティ活動から見える計画と実行の記録に関する報告と考察・・・大竹 正人

美山わんぱく広場周辺にある雑木林の環境整備と活用に関する研究・・・竹内 愼治

糸魚川ジオパークを視点とした日本の地震と新潟の地震に関する研究・・・内山 伸一

糸魚川ジオパークの地形と水力発電・・・平野 悟

2019年度(8)

糸魚川ジオパーク発・子どもとのコミュニケーションにおける自分のことが好きになれない保護者の心理に関する理解と対応の研究・・・横澤 富士子

ジオパークの街糸魚川市と他の地域における文化と自然の比較研究・・・歌川 功一

新潟県糸魚川市における地震災害の調査研究・・・山口 久男

新潟県の伝統行事【青海竹のからかい】の伝承記録と文化継承に関する考査・・・小野雅春

ササユリの成長に菌根菌はどのように関わっているのか・・・佐藤 優羽

青海中学校周辺の地層調査Ⅱ・・・仲野 太基

青海 音ものがたり「石の聲・記憶」より青い海と石の町から---それからのものがたり・・・武田 尚子

2020年度(9)

糸魚川地域におけるこどもの心の成長と親のかかわりの研究・・・横澤 富士子

カール氏のドキュメンタリーから考える糸魚川地域の過疎化対策に関する研究・・・歌川 功一

糸魚川における地域が大好きな子どもたちに関する研究・・・山岸 早苗

糸魚川ジオパークの石あそび・・・小林 早文

糸魚川地域の仏像、仏画、神楽など住民に関心を持ってもらうための研究・・・早津 洋子

青海 音ものがたり「石の聲・記憶」より 青い海と石の町から それからのものがたり・・武田 尚子

 

2021年度(10)

記念講演「大人も子どもも夢を叶えるために今 私たちにできること」を通じた糸魚川地域の教育資源とその展開に関する研究・・・横澤 富士子

NHK番組「ブラタモリ」から考えた糸魚川ジオパークの振興策についての考察・・・歌川 功一

糸魚川地域の古民家を視点としたジオパークの文化的環境価値に関する考査・・・金子 和子

ジオパークの街「糸魚川」を起点とした日本海のシルクロードと「糸魚川―静岡構造線」に関する文化的影響に関する研究・・・鹿田 陽子

糸魚川ジオパークマラソン・・・相澤 靖

出雲国風土記にみる出雲と越(高志・古志)の関係性及び奴奈川姫についての考察・・・野上 正和

10周年記念寄贈論文・環境資源の発掘とポテンシャルの構築に関する糸魚川ジオパークカレッジとその付属研究室の役割に関する研究…宮 亮介

 

2022(11)

『糸魚川の酒蔵とジオパーク資源の関りから考察した日本國特有の文化に対する研究』・・・相澤 靖

『台湾の原風景「清水断崖」と新潟県糸魚川の原風景「親不知」に関する観光資源の考察』・・・ 佩穎

『糸魚川市の人口減少とジオパーク、及び大糸線の活性化に関わる考察』・・・歌川 功一

『神話の里糸魚川になぜ大社がないか史実検証における住民的視点からの考察』・・・氏名 金子

『中学校におけるジオパーク学習の向上に向けた考察-青海中学校の実践を例に-』・・・佐藤 直己

『ジオパークの街「糸魚川」を起点とした文化的影響に関する糸魚川―静岡構造線と日本海のシルクロードの存在に関する研究』・・・鹿田 陽子

『糸魚川地域の神楽や神話の伝承と地域資源活用への一考察』・・・野上 正和

 

2023年度(12)

『糸魚川ジオパークにおける水力エネルギーの活用と可能性に関する研究』・・・相澤 靖

『糸魚川市における廃校舎の利活用に関する一考察』・・・歌川 功一

『歴史的系譜と地域的特徴の比較法による糸魚川市内神楽への一考察』・・・野上 正和

『森羅万象と八百万の神宿る糸魚川GEO PARKの神楽に関する研究』・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・宮 江介・野神 正和・土田 孝雄

 

 


論文要旨

 

2012

 

1.井伊正憲氏

 

『天然記念物ヒメハルゼミの北限地と陸巻貝シーボルトコギセルの生息地としての白山神社社叢に関する研究』

 

糸魚川地域が世界ジオパークに認定されたことから、著者在住の糸魚川市内能生地域に関する環境資源について「白山神社の社叢」及び同地域内に生息する「天然記念物ヒメハルゼミ」「陸巻貝シーポルトコギセル」の三項目に着目して、その個別の特質と関連性に関する研究を進めた。

 

能生地域は、古来より独自の文化や自然形態が数多く残っているが、稀少な生物が生息しつつも地元ではあまり知られていないことも考えられ、同時に神社という特殊な空間と、神社が立地した特別な風土についても、人文的な歴史が稀少生物を守り共存してきたことで、今日のジオパークの一遍をしっかりと担っていることに着眼し、地域の稀少資源を次世代に伝え守り活用する目的から本研究を行う。

 

 

 

2伊藤 和子氏

 

『糸魚川に於ける西浜七谷を結ぶ古道に関する一考察』

 

日本初の世界ジオパークに成った糸魚川市は、地形の複雑さ(地質のvariationを含む)、独自な生態系の形成と種の豊富さ、これらを支え育む文化の発展に就いて『古道』が、糸魚川地域の人と大地の関連を位置づけてきた大切な一連のキーワードとして考えられる。又、糸魚川地域においては大地・生態系・文化の構図について西浜七谷と呼ばれた人々の暮らしと共存している部分が多く、自然力との共存共栄文化が糸魚川には昔から定着している事が特徴であり、糸魚川文化として無形の財産であると考えられる。この部分について、糸魚川市内に嘗て存在し、現在も残っている古道を題材として、先地形・生態系・人文のメカニズムの実態と、その変遷を検証する事で、糸魚川の特徴を生かしたひとつの文化形成に就いて史実の考察を行った。

 

 

 

3猪又 寛氏

 

『糸魚川ジオパークの自然ある街の潜在能力と可能性・大和川地域の貴重性に関する研究』

 

新潟県糸魚川市における大和川地域は、大きく分けて竹ヶ花地区をはじめとし、厚田、大和川、田伏、梶屋敷地区として大和川地域5地区があり、地形や地質の希少性に留まらず、これらの影響から発祥した生態系の希少性、そこに育まれた文化の希少性、さらにはこれらの歴史的背景の価値や継続性に至るまで、地形から始まる物語として構築されるシステムがある。これらの基準に対して整理する事で糸魚川ジオパークの持つ資源についてポテンシャルを考査した結果、24のジオサイト以外にジオパークの特色に準じたオンリーワンの地域があり、この地域をクローズアップして行くことで地域活性と地域貢献の両立が叶うと考え、糸魚川地域における活性化のプロトモデル事例研究を行った。

 

 

 

4菊地 和彦氏

 

『長者ヶ原遺跡の縄文土器と周辺地域の縄文土器との比較研究』

 

 新潟県糸魚川市内の長者ヶ原遺跡から出土する縄文土器と周辺地域(石川県・富山県・新潟県・等)から出土する縄文土器について、調べ比較することによって、当時の人がどのように交流し暮らしていたか研究を行った。調査する範囲と時期については、一番土器が数多く土出する中期を主体として、次にあげる仮説から検討した。①古代から石川県、富山県、新潟県、の地域は「越国」と呼ばれ、一つの地域であった事から、それ以前の縄文時代も、密接な関係があると想定できる為、影響は大きいと考えた。②長野県は、姫川、現在も糸魚川・静岡構造線により断層に沿ってできた塩の道がある。縄文時代も交流があり、当時も影響は大きいと考えた。③新潟県は遺跡数が多くある信濃川流域から距離的に遠いので影響は少ないと考えた。本研究論文は上記三つの仮説からどの様なルートで人が入ってきて交流していったのか検討した。

 

 

 

5小杉 正一氏

 

『地形と生態系に関係する世界ジオパーク糸魚川の東と西の風土に於ける比較研究』

 

近年地球規模で自然環境の変化は著しく、国立公園発祥の地イエローストーンに於いても、オオカミが絶滅し、別の地域から移住させる事で30年の歳月を費やし、生態系の修復を行って来た事実が有る。この出来事は我が国においても一度失った自然形態は何万年ものサイクルで自然修復するか、人工的な手助けを行いつつ、何十年もの歳月を費やさなくては、生態系の修復が叶わない事を理解したい。そこで、本研究の題材とする日本初の世界ジオパーク認定を受けた糸魚川では、海、山、川、森などが凝縮され、中部山岳国立公園・上信越高原国立公園の二つの国立公園を市内に有する他、複数の県立自然公園・ライチョウやカモシカなどの天然記念物が生息する、希少且つ独自の大地や生態系が実践型環境教育のプロトモデル地区になりうると考えた。

 

 

 

6斉藤 政子氏

 

『糸魚川市内上刈地域に有する農業用水路の活用による自家発電の可能性に関する研究』

 

本研究は新潟県糸魚川市内上刈地区に有する農業用水路の活用から、自家発電の可能性に就いて行う為、自然環境資源の活用による水力発電は可能か、蓄電池への変換は可能か、災害時に取り外せる簡単な設置による構造が可能か、等に就いて糸魚川地域での実用性を研究しつつ進めてゆく。糸魚川地域は古来より自然と共存する文化が有り、姫川を代表とする無数の河川と、農業用水との関わりを至る所で見る事が出来る事から、地域の関わりに就いて糸魚川独自の風土と、21世紀に必要とされる自然力エネルギーのスタイルとして、その一角を形成する為に、糸魚川上刈地区に於いて小水力発電による可能性を見出したいと願っている。

 

 

 

7中村 栄美子

 

『ジオパークを生かした街づくりの核となる神話と伝説のふる里糸魚川に関する研究』

 

糸魚川は北陸街道の要所に位置し、かつ松本へ向けての松本街道の起点にもなっている。昔、旅芸人や文人、商いの人々が頻繁に往来し、茶を飲んで休み、宿泊もした。都の話、笑い話、とんち話や世間話が語られ、人々は見知らぬ土地の話に目を輝かせ、聞き入った事と思う。記憶力のある年寄りが、聞いた話を茶飲み話に語り、語りしているうちに、聞き知った話が土地の石や木、あるいは川にくっついてここにあった話として語られたり、又この土地に起こった天災地変が、口から口へと語り継がれてきた。この糸魚川には語り継がれてきた「昔、昔あったとさ」というはなしが沢山ある。素朴な語りの中に子供達を導く教訓が、秘められ、人と人の和の大切さや生きてゆく知恵が秘宝のごとく内包されている。ジオパークに「昔、昔」の伝承を復活し、糸魚川ならではの特色ある街づくりを行い、PRして行かねばと考えた。

 

 

 

8松澤 克矢

 

『糸魚川の地形を利用したアスリートの育成と企業の相乗効果に関するメカニズム研究』

 

今の糸魚川に就いて感じている事、それは若者の流出(18歳~22歳+1)である。この地には高等学校以上の教育機関が無い。高卒で直ぐに働く処も限られている。それ故にこの世代は、より高い知識、経験、技術、刺激等を求めて他の地へと旅立っていく。この年代の流出を『失われた5年』と考え、今回の世界ジオパークを機に、観光資源だけではなく新分野として地形が育むアスリート輩出のメカニズムと、是を応援する企業により、学術、芸術、スポーツ等の分野で地域産業としての宣伝をし、人材の育成に努め、都会からのUターン者と、逆に都会に帰っていく者の相乗効果で文化交流都市としての発展を促し、「街を出る者=情報発信」「町に来る者=地域活性」とした双方の構図が見込まれると考え研究を始めた。

 

 

 

9丸山 由衛氏

 

『世界ジオパーク認定を起点とした糸魚川地域における環境変化の変遷に関する研究』

 

糸魚川地域は2009年、日本初の世界ジオパーク認定を受け、その後、全国から地形・生態系・文化と、高い評価を受けている。しかしながら、自然環境の変化についてはここ50年間において様々な変遷や変化が生じていると感じている。この変化や変遷については時代背景や個々によって様々な物差しがあり、人によってその合否判定も様々な形態から評価されることも否めないが、ふるさと糸魚川らしい進化をして欲しいと願っている。この時代背景による物差しや、個々の評価に対して、地元視点で地域の環境変化や文化の変遷に就いて身近な部分に焦点を当て、今後の地域発展と現状把握、或いは変遷の史実評価について、一度地元視線で過去50年を振り返ることで50年単位の評価指数を明確にしておき、今後の50年先に役立てる様、受け継いでゆきたいと考えている。

 

 

 

10三谷 弘

 

『糸魚川のヒスイにおける物質性と史実性に関する世界ジオパーク認定後の考査研究』

 

Geopark』については、近年、新たな第三の世界遺産としての可能性を秘めた存在価値があると考えている。同時に糸魚川ジオパークに於ける大地・生態系・文化に対する独自の学術的体系に就いてもこれから整い始めることと考えられるため、『ヒスイ』という項目について物理的な物質性、心理的な価値観、縄文文化から「ぬながわ姫」の伝説を経て、現在に至る史実的背景など、をキーワードにした考察を試みる。本研究は小さな石ころが糸魚川ジオパークの大きな看板になることに着目して、著者自身が生まれ育ったこの糸魚川の街の視点や、自由な発想からジオパーク認定後のヒスイから広がる物質性や歴史などについて研究を進めた。

 

 

 

11室川 詔子氏

 

『糸魚川独自の石と植物を使った盆景の作庭手法に関する研究』

 

糸魚川ジオパークは、大地の公園として地形・生態系・人文の其々に歴史があり、継続的な活動をする文化交流都市という意味合いが在る。一方、自然環境に於いては大地の公園と呼ばれる糸魚川ジオパークには特徴ある多くの石が点在する。又、この石を創りだした糸魚川の特異な地形や地質は同時に生態系を創りだしている為、地域独自の植生も豊富である。更に人々がこれらの地形と生態系の中で文化を育んでおり、自然力との共存共栄を営む事で、これ自体が大地の公園として文化交流都市の役割をはたし、持続可能な環境計画を展開している構図がある。

 

本研究ではこうした大地の公園として育まれる糸魚川ジオパークの岩石や植生の豊富さと希少性や特徴に着目し、日本の伝統芸術である盆景を用いる事で、糸魚川ジオパークの風景や特徴や石や植生の魅力を伝えたいと考え地域貢献研究の一角を形成したいと願った。

 

 

 

12山岸 千奈美氏

 

糸魚川の風土と伝承におけるShamanismの研究・・・Europeの魔女文化と日本のまじない文化の考査から糸魚川におけるShamanの足跡をたどる・・・

 

著者の暮らす糸魚川は、2009年に世界ジオパークに認定され、フォッサマグナを中心に地質学的に珍しい土地や鉱物などがある世界的にも価値の高い地域であるとともに、昔ながらの風土や伝承が残る地域である。今回、ここ糸魚川の風土と伝承における「まじない師」の存在とヨーロッパにおける「魔女の文化」に共通性を感じたことから、ヨーロッパにおける先住民の文化を研究し、糸魚川における風土と伝承の実態を探った。その結果、自然の力や民間療法を生かした健康への波及効果が示唆されたため、ここに報告する。

 

 

 

13横川 美津枝氏

 

≪糸魚川考査研究『なるべくしてなった!』日本で最初の世界ジオパーク≫

 

日本は歴史と季節の国である、日本風景論(にほんふうけいろん)の著者、志賀重昂は文中でこの国を「滝と霞の国」と外国に対して絶賛している。また、日本においては各地に独特の風土があり柳田國男による遠野物語をはじめ、金田一京助や森鴎外などは、その風土の不思議を記録していった。これらの史実の中から、国立公園の父と呼ばれた田村剛は糸魚川に二つの国立公園を同居させた。遠い昔、神々は北アメリカプレートとユーラシアプレートを、ここ糸魚川で落ち合わせた。日本で最も起伏が激しく、風光明媚な土地であり、人と自然が共存共栄し、伝説の神々とヒスイが今も人に語りかける。つまり世界自然遺産と世界文化遺産が共存する様な街が世界ジオパークとして日本で最初に認定された事になる。是は自然学上の「偶然性」と、人文学上「なるべくしてなった」当然の「必然性」と考えられる。

 

 

 

14渡辺 留美氏

 

『糸魚川におけるあらゆる面からのヒーリング効果に関する研究』

 

2009年日本初の世界ジオパークとなった糸魚川市は、1987年より地形の面白さ、雄大さを資源として、人文環境や自然環境等、人と大地の関りがあり、あらゆる面でヒーリング効果を持つ地域として考る事が出来る。この為2012年より糸魚川地域ではヒスイをキーワードとして、オンリーワン、ナンバーワンの『目玉資源』を絞り『+α』の演出や、おもてなしでヒーリングによる相乗効果を図る為の商品開発、観光スポットとして多くの人に糸魚川地域の魅力を発信する方法や計画を考査した。この結果、縄文時代の食事から極上素材の食事+お酒等、糸魚川の名水探し等の提供、ヒスイをイメージした薬草茶・お守り・お菓子等の商品計画等、目玉資源を体験して実際に調査し計画して行く事から、研究を構築して行く事により、糸魚川の環境資源が全て癒しにつながるオンリーワンの資源である可能性を発見した。

 

2013

 

 

五十嵐 正『糸魚川真柏に関する特徴の研究』要旨

 

糸魚川真柏は明治40(1907)頃、四国出身の鈴木多平により現新潟県糸魚川市の黒姫山付近で発見されたが、なんとヒスイが世に認知された昭和13(1938)より31年も前の事である。糸魚川真柏の特性は国内のどの産地より優れていると盆栽界で絶賛され、糸魚川真柏にある「得難さ」を全国各地の展示会で称賛されている。石灰岩の断崖絶壁で様々な厳しい気象条件の中から作り出され、捻転した幹や白骨化したジンとシャリ芸が堅牢で、葉性の繊細さと葉の美しさが愛好家のみならず、一般の方々にも感動を与えてきた。しかし自生地で枯渇したと言われる中で、愛好家によって育まれていた糸魚川真柏の名品と言われた物が市外へ流出している。残された糸魚川真柏を、世界糸魚川ジオパークに認定された大切なこの地の資産として、糸魚川真柏の当地として育成保存をしたい。小中学生の頃の卒業式などの式典で演台を飾っていたあの盆栽のように、糸魚川真柏の雄姿をこの地の資産であることを子供達に「知って、育てて、受け継ぐ」を、教育の場に反映させたい。幸い糸魚川真柏は、市内の愛好家は元より全国の愛好家によって、親木から切り分けされた挿し穂を長い年月をかけ、岩壁で育まれていたその雄姿が「風を感じる樹」として植木鉢の中で再現されている。

 

 

 

池田直子・糸魚川地域に於ける姫と石の史実検証に関する研究』・要旨

 

新潟県の糸魚川地域に於ける姫と云えば、奴奈川姫(ヌナガワヒメ)である・・・姫は、古代高志(越)の国(現代の頚城地域)にあり、美しく、賢く、勾玉を持ち、この地を治めていたという(口碑伝説)奴奈川姫伝説の姫である。「奴奈川」の文字は人や時期・統治により文字がかわり、現在の漢字になった。この史実について伝説で終わらない為にも、そして糸魚川に、奴奈川姫在り!の検証・研究を進める。          その一環として縄文時代・大和出身の興味深い巫女姫との比較をし、「奴奈川姫」が『ド・ナ・カ・ワ・ヒ・メ』と呼ばれないために、知名度を上げてゆきたい。『ぬ・な・か・わ・ひ・め』の言葉の響からは、緑と赤の石を持ち、地を司ると言う意味がある事から、翡翠と瑪瑙(めのう)の輝ける玉を用いたシャーマン(巫女姫)としての存在という事が納得できる。本研究に於ける持論(仮説)として、奴奈川姫の居た時代では、奴奈川族が生活し、その先祖を辿ると縄文時代になる。姫は弥生・古墳時代と長期に渡る存在である事から・・歴代天皇のように、第一代・奴奈川姫:黒姫→第二代・奴奈川姫:長者ヶ原姫になり受け継がれ、巫女力・霊力・血筋・等を先代の姫と族の長が決めたと仮定する。また、本研究において対比する『瀬織津姫』(せ・お・り・つ・ひ・め)は、別名・「卑弥呼」と仮定する。初代 奴奈川姫は、瀬織津姫の噂を聴いた可能性があると考え、紐解いてゆけば、出雲・伊勢・諏訪・高志の日本列島・名付けて超絶パワースポット(スクエアーライン)は結ばれ糸魚川の重要性が見直され、糸魚川ブランド巫女姫・奴奈川姫の存在を史実・永遠の石、岩石・ジオパークサイト等と関連付け、五感体験しながら検証し発信することを本研究の目的とする。

 

 

 

伊藤 富士雄糸魚川地域における農林水産資源と人文や自然環境資源がもたらす高齢社会に良い地域に関する研究』・要旨

 

要介護者と介護・医療の従事者とのよりよい人生最後の楽園を求めて自然の中で活動して活性出来るライフワークを一つの理想と考える。俗に言われる「ピンピンコロリと生きて逝く」とした事も、人生の幸せの選択肢である。この考え方については、様々な捉え方があるが、人が「本来の人

 

らしい生き方」の一つとして位置づけられている。これらの生活を送るためには、受け入れ態勢の充実が図られる必要性があるが、この部分について新潟県の糸魚川地域においては、地形・地質・生態系・文化財産をテーマとした世界ジオパークの認定を受けていることから、独自の地域特徴と供給資源があり、今まで観光における安らぎや楽しさ、被災地における防災と復興の礎、ジオツーリズムリの先にあるアカデミズム等の構築が行われており、多種多様な価値を創生してきたが、新たに楽しく元気な高齢者像を実現してゆく為の資源を持った地域要素があると考え、糸魚川地域の農林水産・山川海・文化歴史の3つの要素から研究を行った。

 

 

 

 

 

内山 伸一糸魚川地域に於ける地すべり地帯と古来からの地名に関する関連性に就いての研究』・要旨

 

本研究は上記論題に対して「地名を学ぶ」こととして研究を進める。「地」は、万物が住むところ國・領土・居場所として「地力」「地方」「地形」、について以下の検索からはじめた。著者は大地の公園として世界ジオパークに認定された新潟県糸魚川に住んで日々何気なく暮らしてきたが、地名について深く考える事が無かった。災害など、遠いから関係ないで過ごしてきた。子供の頃、東京の叔母の所へ昼に伺う、突然家がゆれ驚いた、何かと聞くと地震よと答える、初めての脅威を味わう。新潟地震・中越地震・能登沖地震を体験した今日、もしかして現実に遭遇したらどうするか、歩きながら災害を想定して避難場所の経路を選ぶことに専念をするこのころである。吉川英治の「宮本武蔵」によると、鎖鎌の達人と知らずに、一夜の宿を乞う。母乳の匂いと、風車の音を聴き危険を察知した。また、百人一首(清原元輔)「契りきな互みに袖をしぼりつつ末の松山浪越さじとは」地名に刻む災害の記録を確認したい。本研究が少しでも、今後の防災に関するジオバークとして、地名を学び役立てる事になれば幸と願っている。

 

 

 

 

 

恩田 恵美子糸魚川ジオパークの水資源に於ける多様性と可能性に関する基礎研究』・要旨

 

筆者は新潟県糸魚川市に位置する焼山火砕流堆積地の中川原台地の上で育った。火砕流は水はけが良いので湧水はなく、日常の生活用水は田圃の用水と同じ水を家へ引いて、沸騰させたものを使用していた。雨が降ると泥水になって濁り、時には雨蛙が流れてくることもあった。小学校高学年の頃、集落で川の対岸の棚田の湧水を利用した簡易水道が完成して、やっと生水が飲めるようになった事から、安全な水についてはこだわってゆきたいと考え、研究を行った。

 

 

 

斉藤 一美・『世界ジオパーク糸魚川・24のジオサイト×24の楽しみ方×24のストーリーの考査研究』・要旨

 

世界ジオパークに認定された糸魚川市に、著者は2011年に初めて仕事の依頼で訪れた。やがてその不思議な街の魅力に取り付かれ、いつしか一人の旅人になっている自分に気付いた。この街のツーリズムはその先に大地の自然を学ぶアカデミズムや、保全と活用に携われる社会工検査的なステータスも感じる。いつしか愛する街に僅かでも自身が何か貢献したいと願うようになり、24のジオサイトに対して楽しみ方とストーリーのあるテーマパークの研究を始めた。

 

 

 

竹内 愼治・『 ジオトープ』

 

新潟県の西端に位置する当青海地域は、糸魚川世界ジオパークの中にあり、自然の価値が世界的に高く評価されている地域である。特に、翡翠や石灰岩の産地として有名である。また、田海ヶ池に代表されるように、日本有数の多種多様なトンボが生息する地域でもある。本研究の目的はこのような価値の高い自然の保護と子どもたちへ環境教育にある。本研究では、地域の地質や生態系に配慮しながらジオトープ(地形・地質を中心に考えた空間)を造成し、田海ケ池に生息する貴重なトンボの補助的な繁殖地としての機能をもたせるなど、地域の自然を再生する取組を行う。そして、ジオトープ造成後の生態系の変容を継続的に観察することにより、ジオトープがトンボの補助的な繁殖地としての機能を果たしているかどうかなどを検証していく。また、このジオトープづくりを通じて、子どもたちの地域の自然への理解を深め、自然保護への意識を高めることにより、将来のジオパーク活動推進を担う人材育成につなげていく。

 

 

 

堀田 須美江・『誰でも行ける癒しのジオサイトに関する考察と研究』・要旨

 

新潟県糸魚川市はフォッサマグナの大地と、日本海気候独自の風土から、生態系の特異性と多様性、更にはその地域に育まれた文化の独自性など、大地の歴史的遺産として2009年世界ジオパークとなった。この大地の公園については地形や地質の異なった24のジオサイトが構築され、人々を楽しませてくれる。こうした背景の中で「公園」としてのfamiliarityと「healing」の大切さ、即ち「誰でも行ける癒しのジオサイト」について世界ジオパーク認定都市として考えたいと願った。又同時に、文化交流都市として、この課題に対して著者自身も出来る事から取り組みたいとも考えた。この結果、著者自身が体験してきた山歩きや福祉の仕事に携わって来た経験地を基に、誰でも行ける癒しのジオサイトについて計画案を作り、物理・心理・史実の側面から考査を行うことで、ジオサイトの保護と利用・持続可能な環境計画・環境教育の一角を形成できればと願い、ジオツーリズムのコースについてプロトモデルを考案する研究を試みた。

 

 

 

山本 愛一・「マイコミ平の千里洞における植生の観察と今後の展望に関する研究」要旨

 

著者の暮す横地地域は新潟県糸魚川市にあり、平成21年8月22日に日本で初めて世界ジオパーク(糸魚川ジオパーク)に認定された自然豊かな環境の中にある。特にここ横地はジオサイトの一つであり、「マイコミ平」のすぐ麓にある全戸140戸の集落として形成されている。このマイコミ平とは、全山石灰石でできている黒姫山の裾野にある標高700mの盆地のことを指す。この場所も石灰石で形成されており、山口県の秋芳洞と同じく鍾乳石等がある地域である。マイコミ平の特徴は日本で1位から4位までの深さを独占する竪型洞窟が存在することにある。さらに、この竪型洞窟の一つに「千里洞」があり、この洞窟より吹き上げる冷風による影響が、周辺の植物の生態を低いところほど高山性の植物(標高2,500m級)を分布させるという不思議な箇所として、大変希少な地形価値が見られる。

 

昭和51年にこの竪型洞窟の調査にケイビング隊が入洞したが、想定していた以上の大雨のため竪穴の中で身動きが取れなくなったことがある。この遭難事故によりマイコミ平への入場が許可制になったことから地元の人たちも入場できなくなり、この素晴らしい自然があるマイコミ平が簡単に見られない状況となってしまった。地元で暮らしている著者たちにとって、もっと気楽にマイコミ平に入場し、地元にこんな素晴らしい自然があることを認識していただき、また沢山の方々にマイコミ平を知っていただくことで、地域の活性化に寄与できればと思い論文のテーマとして取り上げた。

 

 

 

山本かずみ・『里山を活用した糸魚川ジオパークにおける生きがいネットワークに就いての事例研究』・要旨

 

近年、高齢化が進み、いたるところに空き家や売り家が目立つ。田畑は荒れ、山林は手つかずで放置され、若者は都市へと移り住み、ふる里へ戻りたいと思っても働く場がない、と親の側からも子の側からも多数の声が聞こえる。人々は先行きの無い漠然とした不安の中で現状に喘ぎながら生きている。著者の住む高畑地区においても高齢化や核家族化が進み、年齢別の人口比率は、0歳~18歳までの就学世代は15%、19歳~55歳までの就労世代は23%、56歳~70歳までの熟年世代は33%、71歳~のシニア世代は29%と増々高齢化に拍車がかかっている。その中で老いも若きも元気に生き生きと生活し、豊かで充実した人生を創造することができれば、自ずと地域全体の生活化が図れ、その先には医療や介護、イジメや鬱など世の中に蔓延している諸問題も自然と解決の方向へと向かっていくのではないかと考える。世界ジオパークに再認定された糸魚川地域に住む著者として、この恵まれた自然に感謝し恩恵を享受しつつ真に豊かな未来へとつなぐ一つの糧として、この考察を重ねた。

 

2016 

 

 

ジオパークにおける自然材料の保護と利用についての考察

 

~プチ・ジオトープの販売の是非をめぐって~

 

" Study on the protection and use of natural materials in the geopark"

the pros and cons of Petit geotope sales-

 

竹内 愼治Shinji-Takeuchi

 

概要

ユネスコの支援で、2004年に設立された世界ジオパークネットワークにより、世界各国でジオパーク活動が推進され、新潟県糸魚川市[図1]も、2009822 日に日本で初めて世界ジオパークの認定を受けた。そして、201511月には、ユネスコ総会においてジオパークの取組が、ユネスコの正式プログラムとなった。ジオパークは、大地や動植物などの自然や人々の歴史、伝統・文化の価値が世界的に高く評価されている地域である。糸魚川市では、ジオパークに指定された貴重な素材を保護し、ジオパーク教育を進めながら、ジオツーリズムという観光形態を推進して、地域振興を図っている。

 

糸魚川市内の中学校では、ジオパーク教育を推進するための学習用教材の一つとして、『ジオトープ』づくりを進めている(ビオトープは、生物を中心にして構成されている空間であるのに対して、ジオトープは、地形や地質を中心に考えた空間である。)また、ジオパークカレッジでは、このジオトープの考え方を広く一般市民に理解してもらうために、プチ・ジオトープを考案し、ジオパルのイベント等で、子ども用の学習用教材として活用したり、おみやげ品として販売したりしている。ところが、プチ・ジオトープには、糸魚川の土や砂、石、植物等の自然素材が使用されており、ユネスコ世界ジオパーク運営ガイドラインに抵触しているのではないかという疑問の声があがった。そこで、この研究では、このプチ・ジオトープの販売の是非につい考察する。

 

 

 

糸魚川の地形と文化を考査した道の歴史とジオパークの街つくりに関する研究

 

" Study on history of the way on the basis of the topography and the culture of Itoigawa and town structure of the Geopark "

 

内山 伸一Shinichi-Uchiyama

 

概要 

道・路・途とは、1・人や車などが往来するための所・通行する所・2・目的地に至る、みちのり、距離、(広辞苑)と示されている。

人々が生活の中で、公営・民営など必要があるものを運搬する。

徒歩から、馬車道・自動車・早く・安全に目的地に到達する義務を負う。

本研究においてはこの「道」という文化や物質などの交流ツールとポテンシャルを題材に、糸魚川の特殊な地形とそこに育まれた歴史の変遷を照らし合わせることで、世界ジオパークにおける今後の街づくりに対する調査を行い、寄与貢献できればとの願いから、本研究において一定の結論を導いた。

 

 

 

糸魚川の地酒に関する魅力の研究

 

" Study on charm of the local sake making of Itoigawa "

 

樋口 すみ子Sumiko-Higuchi

 

概要

酒造りの起源は、縄文時代から現代まで酒造りが行われてきた。

最近海外では、日本酒ブームで都市部のレストラン等、日本酒のメニューが増えつつあるという。

本場の日本に来て観て、酒蔵の話を聞き日本酒の素晴らしさを感じ取り、観光の注目度は高いようである。

特に新潟県は全国に知られた銘酒の産地、酒蔵の数も多く、県内には99の蔵があり、其々個性のある酒を醸している。

新潟が酒どころと言われるようになった理由は、質の良い米の産地・そして酒造りに最適な米と呼ばれる品種があり、広く栽培されているようである。

本研究はこの新潟県内における有数な地形と地質を誇りUNESCOから世界ジオパークの認定も受けている糸魚川地域の風土に育ま 

 

 

ジオパークで農山村は甦るか・荒廃する根知地区の推移と展望に関する研究

 

"The farming and mountain village that revives from the Geopark.

The decline of the nechi district and the study on prospects."

 

佐藤 和雄Kazuo-Sato

 

概要 

新潟県糸魚川市にある根知地区は農業が盛んな所で米作・酪農・林業と、活力のある地域だった。

人口も4千人を超え、村には小学校が3校、中学校1校、糸魚川高校定時制もあり豊かな地であった。

この50年間程の社会の動きの中で梶山・大久保・西山・余所・杉之当・中上条・上沢などの集落が消滅した。

農地は昭和5010月起工、5810月完工した圃場整備事業で大規模高地へと変貌した。

昭和5512月オープンしたシーサイドバレースキー場は何度か経営不振で休業再開を繰り返しながら現在に至っている負の数値は否めない。

一方、昭和4050年代は青年団の活動も盛んで、民俗資料保存活動で『塩の道資料館』建設を実現し、塩の道ハイキング等、多くの人が訪れている。

平成13年になると山寺地区にある『延年のおててこ会館』も建設された。

又、平成16年度にはその周辺にある白池一帯が『雨飾山麓しろ池の森』として整備された。

こうした歴史の後、糸魚川市がUNESCOによる世界ジオパークとして認定(平成22年認定・平成27年世界遺産正式プログラム決定)を受け、近年ではジオパークのサイトとして『フォッサマグナパーク枕状溶岩見学サイト』などへ多くのことが見学に足を運んでいる事から正の数地を十分に蓄えた地域であると考えられる。

こうした地域の歴史から見た根知地区は現在日本に残る固有の重要な環境維持地区と考えられる。

その為、地方都市特有の正負の数値を紐解き調査・研究することによる保全の提言と、固有の重要環境としての正の数地に対する発展を促すアプローチができればと考え本研究に着手した。

 

 

『ジオパーク式相続』

 

~地域の思いをツナグ、『ジオ的相続』のススメ~

 

" The Geopark expression inheritance "

The advice of the geo-inheritance-style to join local thought together

 

松澤 克矢(Katuya-Matuzawa

 

概要

本論文は地方の衰退という地域の大問題に対して、『相続』というキーワードから、地方再生のアプローチを考察するものである。人が亡くなれば、『相続』が発生する。第二次世界大戦以降、それまで主流であった家制度・家督相続は廃止され、法定相続分に基づく均分相続制度に移行した。一部の者への富の集中を回避し、権利は何人に対しても平等であるべきだとする近現代社会における福祉国家的な考え方からすると、一見この制度移行は正しいように思われる。日本国憲法において、職業選択の自由、居住移転の自由等が認められ、人々は容易にその所在、ライフスタイルを選択することができるようになった。行きたいところへ行き、住みたいところに住み、やりたい事ができる社会。素晴らしい社会が到来したといえよう。しかしその反面、都市部と地方部の二極化、持てる者と持たざる者との格差がますます拡大している。地方部の現状をみると、人々は豊かさと暮らしやすさを求め、都市部に目を向ける。結果として地方から都市部への人口の流出が止まらない。それに伴い、富・財産もまた、どんどん都市部へと流出してしまい、地方部はますます衰退の一途をたどる。親から子への財産の移転に伴い、先祖代々受け継がれてきた家が消滅しその結果として地域の衰退につながっているという現状が有る。果たしてこれでいいのであろうかと疑問を抱いた。

また『相続』ということばの持つ本当の意味や価値とはいかなるかを考えた結果、『ジオパーク的相続』(以下本分ではジオ的相続と呼ぶ) と命名して財産・富の移転だけに限らず、また、個人の問題に限らず、地域全体で考える視点・大地全体で考える視点を用いて調査研究を行った。その結果、財産・富の移転以外にある大切な価値に対して着目した上でそれをより適切に引継ぐことができる可能性を考察し、必要性を提唱することを本論文は試みるものである。

・・・これを機に皆様から地域社会における正しい相続のカタチを共に考えていただければ幸いである。・・・

 

 

『糸魚川ジオパーク式愛着形成論』

 

" Itoigawa style love upbringing theory "

横澤 富士子Fujiko-Yokozawa

 

概要

2017年現在、著者は新潟県糸魚川市において糸魚川市子どもの教育相談員という職種につき様々なケースに遭遇し対応してきたが、こうした経験値からすべての子どもたちが、ひとみを輝かせて未来の夢に向かって成長してほしいと願っている。糸魚川市一貫教育の取組としても、子どもが元気に心も体も健やかに成長するためには、早寝、早起き、おいしい朝ごはんに代表される規則正しい生活リズムが礎となり、そのうえに健やかな体、豊かな心、確かな学力を備えた子どもを育てることが重要と考えている。また、子どもの生活リズム向上の取組は、家庭、地域、園、学校の連携に加え、成長に応じて一貫して取り組むことが大切であり、特に9歳までの生活リズムの定着が重要であることを確認した。同時に著者は、東京都出身であり外部からの比較考査とした視点から糸魚川地域における様々な自然環境資源や、独特の風土がはぐくんできた人文環境を構築している地域として、独自の糸魚川地域資源がポテンシャルとなる新たな希望や、発展性や、可能性も見出し、期待もしている。その為、糸魚川市におけるこれまでの取組や問題を抱える子どもや保護者や教職員から教えて頂いたことを整理したい。本研究では糸魚川で生まれ育った子どもが、夢を持ちながら自己実現を果たして日本一の子どもになるにはどうしたらいいのかを調査研究をライフワークとして継続してゆきたいと考え、本研究では先ず糸魚川地域の自然や人文における環境資源の整理を行い、同時に著者の経験値と近年における生活教育の実態を調べ、比較考察を行う事で生活教育と糸魚川地域環境資源の関連性において論理的かつ客観性を持った一定の尺度について確認を得ることが出来た。

 

 

糸魚川ジオパークにおける地形と文化の残存融合財産に関する保護と活用の研究

 

" Study on protection and utilization for the historic railroad architecture in the Itoigawa Geopark "

 

高澤 智恵Cie-Takazawa

 

概要

20164月から、新潟県糸魚川市に残存する、旧北陸本線の親不知レンガトンネルの整備が完了し、一般に公開された。親不知レンガトンネルと親不知コミュニティーロードが遊歩道で結ばれ、絶景を楽しみながら散策することができるようになった。建設から100年以上もたっている鉄道トンネルであり、著者が生まれたころには既に廃線となっていた為、存在すら知らない鉄道遺産であった。著者は、整備前に市が開催した見学会に参加して、レンガトンネルの歴史や功績を知ることができ、大変感激した。是非多くの方に足を運んでもらい先人の素晴らしさを知ってもらいたいと切に感じた。もっと知名度を上げて魅力ある観光拠点となって欲しいので、著者なりの企画提案をしていきたい。

整備前は、足元が煤や水溜りで汚れるため、長靴やさらにその上からも煤よけにビニールをかぶせたりして歩いた。地面も凸凹して歩きにくかったが、整備後は足元等が灯され、盛土で均した歩道が出来ていた。

 

 

糸魚川ジオパークにおける固有の丘陵地を題材にした風土と文化の変遷に関する研究

 

" Study of the local culture about the inherent hill area of the Itoigawa Geopark"

 

山口 和男kazuoYamaguchi

 

概要 

新潟県糸魚川市は日本が世界に誇る大地・生態系・文化を持つ地域であり、地方都市として小さな集落の集合に日本文化の特徴があり、風土としての特異性に価値があり、今後の発展にも着目した。糸魚川地域はもともと越の国として険しい頚城地方の七つの谷のうち五つの谷を有しているが、古代より文化の中心地であり、神の国としてあがめられ、近代においては地質学者ナウマンによるフォッサマグナの発見、登山家ウエストンにゆるアルプスの起点としての認定、文学者相馬御風らによる翡翠の発見から国石としての認定も受けている。又、2009年にその地質や地形の特異性から世界ジオパークに認定され、その後2016年にはUNESCOによる第三の世界遺産として登録された。この様な背景から著者が生まれ育った小さな単位の集落から地形・風土・文化を捉え、造園学におけるmacromesomicroの三視点から比較することで失われゆく日本の顔に対してその重要性を理解してもらいたく研究を行い結果の報告を行った。

 

糸魚川ジオパークにおける公共施設の活用手法と可能性に関する研究No2

 

" Study on diorama utilization technique and possibility of the public accommodation in the Itoigawa Geopark "

小林早文Hayafumi-Kobayashi

 

概要

新潟県糸魚川市はその特異且つ貴重な地形や地質からUNESCOによる世界遺産となる世界ジオパークに認定されている。

この大地の公園となる世界遺産は大変複雑な起伏のある地形であり、古き時代より風光明媚な自然景観や独自の風土が高く評価されてきたが、同時に古代からの東西文化の分岐点として重要な役割や、近代日本の鉄道文化にも大きな影響や役割を担ってきた。

このような関係から著者はFossa Magnaや、アルプスの起点となる大地と日本の鉄道史や文化の関係において重要な糸魚川を鉄道のジオラマ模型として多くの人に楽しんでもらえればと願い、鉄道模型をもとにレクレーションとして子供から大人まで楽しめる、具体的な公共施設を活用したシステムについて著者自身が市民として携わってきた経緯からも調査計画を行い、大地・鉄道・レクレーションの一体したコミュニティー形成に役立ちたいと願って本研究を行った。

 

 

『勾玉の魅力に関する研究』

 

" The study of a charming magatama "

平野 悟Satoru-Hirano

 

概要 

2016年に日本の国石にヒスイが選定された。ヒスイと勾玉は深い関係に有り、その歴史は1000年以上にもなる。著者自身縄文の時代から翡翠のヒスイの産地として歴史を持つ糸魚川暮らす身として、この勾玉に大変魅力を感じているその魅力が何故なのかについて調査・研究した。その結果、丸い形状と鋭い形状の相反する特徴を併せ持った形状であること、古代に魂とそれを守る霊力を併せ持っことを象徴するものとして珍重されてきた歴史を持つことが読み取れ、分析が出来た又、人々が感じる印象については、美しさ、優しさを感じることから好感を持ち、なおかつ強い印象を受けていることが判明した。

 

 

『フォッサマグナミュージアムの案内方法に関する研究』

 

" Research in the Fossa Magna Museum guide of best style plan "

小野 雅春MasaharuOno

 

概要

本研究ではUNESCO世界ジオパークに認定された新潟県糸魚川市の専門的施設である博物館の案内を学芸員でなくガイドがどのように行うべきか、来場者の反応を見ながら試行錯誤し取組んできた。この経験値から案内の内容と検討・工夫の取組を「見える化」すると共に、自身の活動と来場者の反応をデータとして集め、解析する手法で評価を行い、一定の成果が確認された事から、さらに今後の発展を願い来場者に喜ばれる案内方法を提言する。

 

 


 

ジオパークカレッジガイダンス

 

糸魚川ジオパークカレッジとは・・・

 

糸魚川ジオパークカレッジは東京大学庭師倶楽部(東京大学林学科OB・OGの有志団体)主催で、糸魚川市や東京糸魚川会など各諸団体協力により、平成23年に開校された学術組織です。おかげさまで今期第期目を迎えようとしております。

 

ユネスコ世界ジオパークに認定された糸魚川の独特な大地や生態系など自然環境と多様な文化や歴史など人文資源を題材に、キラキラ光る地域の魅力について学びます。

 

内外の講師による講義形式の座学に加えて、化石採りやヒスイ探しなどのフィールド体験、時にはお茶会やアロマ作りなども交えつつ、一年間楽しいカリキュラムで運営していきます。

 

カリキュラムについて・・・

 

本計画全体の学習母体として「ドイツの森林美学」から発達した造園学における「人と自然の関わり」を基に、糸魚川地域独自の学問となる「自然力との共存共栄」を題材としたジオパーク学に至る学習を、保護と利用・持続可能な環境計画・環境教育の概念と、マクロ・メソ・ミクロの視点から、物理的解析・心理的分析・史実的検証などの手法を用いて、個々のオリジナル論文作成迄を座学と実践学から1年間のカリキュラムとして行います。

 

又、UNESCOの公式事業とも並行し平成29年度より、今迄行って来た座学と野外学習の範囲を広げ首都圏における供給や提供活動を糸魚川市内のフィールドとそのコアとなるカレッジを利用してゆく事業展開や使用来の大学構築に向けた計画があります。

          

 

 

 糸魚川ジオパークカレッジの主な年間学習カリキュラム

 

2023年度糸魚川ジオパークカレッジの主な講座とその内容

 

講座名

   

野外調査体験tourism

糸魚川全体をキャンパスと考え実践的体験学習を行います

造園学

東大140年の蓄積した「人と自然の関わり」全般について学びます

ジオパーク解析

糸魚川とジオパークの資源解析からポテンシャルを探ります

ジオ検定・ジオガイド演習

ジオパークの基礎知識をつけて幅広い参加と活躍を促します

1期生論文講座

今年度からの試みとして地元主人公型講師から前年研究を伝えます

環境社会共存学

保護と利用・環境教育・持続可能な環境計画を学びます。

ジオ資源活用論

大地・生態系・人文など糸魚川資源の可能性や問題点を考査します

ジオパーク学

上記学問の先にある新領域創生学として皆さんと構築して行きます

ゼミ

皆さんの経験や研究成果と東大造園学の学術交流の場です。

論文

上記1年の活動から皆さんの世界観や視点を、宮が論文化します

 

 

 

12期のカレッジ日程

 

実施予定日

1時限(13:1014:10

2時限(14:2015:20

3時限(15:3016:30

放課後活動

野外活動

48()

 

 

 

研究室ゼミ1

18:0021:00頃迄

527()

カレッジ説明会

カレッジ説明会

カレッジ説明会

研究室ゼミ2

18:0021:00頃迄

610()

開講式

野外調査体験tourism教室1

オリエンテーション

研究室ゼミ3

18:0021:00頃迄

624()

造園学

ジオパーク解析

ジオ検定・ジオガイド演習

 

78()

野外調査体験tourism教室2

野外調査体験tourism教室2

野外調査体験tourism教室2

研究室ゼミ4

18:0021:00頃迄

722()

造園学

ジオパーク解析

(11期生論文)1

ジオ検定・ジオガイド演習

 

819()

野外調査体験tourism教室3

野外調査体験tourism教室3

野外調査体験tourism教室3

研究室ゼミ5

18:0021:00頃迄

99()

造園学

ジオパーク解析

(11期生論文)2

ジオ検定・ジオガイド演習

研究室ゼミ6

18:0021:00頃迄

923()

造園学

ジオ検定・ジオガイド演習

野外調査体験tourism教室4

野外調査体験tourism教室4

1014()

造園学

環境社会共存学

(11期生論文)3

ジオ検定ジオガイド演習

研究室ゼミ7

18:0021:00頃迄

1028()

野外調査体験tourism教室5

野外調査体験tourism教室5

野外調査体験tourism教室5

 

1111(土)

文化祭

文化祭

文化祭

研究室ゼミ8(他県)

1125()

ジオ資源活用論

環境社会共存学

(11期生論文)4

ジオ検定ジオガイド演習

 

129()

ジオ資源活用論ジオカフェ1

環境社会共存学13:0015:00

ゼミ基礎

ジオクラフト

研究室ゼミ9

18:0021:00頃迄

1216()

ジオ資源活用論

環境社会共存学(11期生論文)5

ゼミ基礎

 

113()

ジオパーク学

ゼミ(演習)

(11期生論文)6

論文(制作)

研究室ゼミ10

18:0021:00頃迄

127()

ジオパーク学

ゼミ(演習)

論文(制作)

 

210()

ジオパーク学

ゼミ(演習)

(11期生論文)7

論文(制作)

研究室ゼミ11

18:0021:00頃迄

224()

ジオパーク学

ゼミ(演習)

論文(制作)

ジオパルイベント2

13:0015:00頃迄

39()

論文演習ゼミ

ジオカフェ2

論文演習ゼミ

13:0015:00

論文演習ゼミ

プチジオトーブ

研究室ゼミ12

18:0021:00頃迄

323()

論文発表

論文発表

修業式

 

 

 

12期生糸魚川ジオパークカレッジツーリズム内容一覧

 

     

5/3

ジオカフェ1・わんぱく森林冒険1

美山公園の森林を使ったアドベンチャー体験 (竹内)

5/31

ジオカフェ2糸魚川サテライト校1

女子美術大学前期環境論サテライト講義(寺﨑・宮)

6/4

ジオカフェ3・わんぱく森林冒険2

海谷渓谷の森林を使ったアドベンチャー体験 (松澤)

6/8

ジオカフェ4・環境出前教室

筑波大学集中講義現代街づくり論()

6/10

野外調査体験tourism教室1

街歩きTourism (寺﨑・松澤)

7/8

野外調査体験tourism教室2

ヒスイor化石探し(寺﨑)&博物館見学(小野

8/19

野外調査体験tourism教室3

学校に泊まるsupport Tourism(平野)

9/23

野外調査体験tourism教室4

菅沼(ムーンセラピー)(室川、猪又

未定

ジオカフェ5・糸魚川サテライト校2

女子美術大学前期環境論サテライト講義(寺﨑・宮)

12/9

ジオカフェ6・ジオパルイベント

ジオクラフト(植

3/9

ジオカフェ4・ジオパルイベント

ジオポプリン(室川・猪又

 

※カリキュラムの内容については地域行事や社会情勢により一部変更の可能性もあります。 

 

登録講師一覧(2019年データ)

講師

概 要

東京大学庭師倶楽部(造園学・landscape)

寺崎

東京糸魚川会

NPO法人ジャパン・フォレスト・フォーラム

土田

糸魚川市

木嶋

糸魚川市

山岸

糸魚川市

竹之内

糸魚川市

宮島

糸魚川市

茨木

糸魚川市

横川

糸魚川市

内山

糸魚川市

竹内

糸魚川市

久保

糸魚川市

少年1(未成年の為現段階非公開)

糸魚川高校研究チーム

少年2(未成年の為現段階非公開)

青海中学研究チーム

高山(ニノマエ)

東京大学庭師倶楽部(造園学・環境心理)

佐々木

住田町職員

jarek sadowski

ワルシャワ大学(文化人類学)

Anna Jurago

ワルシャワ大学(家政学)

中山

東京大学庭師倶楽部(測量・測定学)

永井

東京大学庭師倶楽部(造園学・landscape)

櫻井

東京大学庭師倶楽部(造園学・都市計画学)

大西

東京大学庭師倶楽部(造園学・地方コミュニティー)

小坂

東京大学庭師倶楽部(造園学・水源植物)

工藤

横浜国立大学(家政学)

安部

横浜国立大学(家政学)

西連地

東京大学庭師倶楽部(町おこし・民俗学・物理解析)

 

    

 

令和3年度糸魚川ジオパークカレッジにおける基本計画(過去事例)

 

  令和5年度開催期間/令和341日~令和4331(春・夏・冬休み期間有り)

  通常開催期間/6.7.9.10.11.12.1.2.3月の第二・第四土曜日(一部変更有り)

  開催日時/通常は1310分から1630分迄を予定

  場所/糸魚川市内・糸魚川公民館

  参加費/市内在住の方1300円・市外在住の方11000円/別途テキスト代1000円程度

  主催/任意団体・東京大学庭師倶楽部

  協賛/NPO法人ジャパン・フォレスト・フォーラム

 

  協力/糸魚川市、糸魚川ジオパーク協議会、東京糸魚川会・糸魚川ジオパークカレッジ付属研究室

 

糸魚川ジオパークカレッジ講義内容過去6月の事例

 

§ 1学習に向けた基本概念・・・「大地」「生態系」「文化」

 

先ず我々の住む環境について仕組みを考えてみましょう。

 

糸魚川を空間軸と時間軸で見た場合、大地があり、生態系が生まれ、文化が構築します。

 

そしてこれらが風土や歴史を作り今に伝えています。

 

その中で文化の一部として保護と利用・観光・学習・産業などが成り立ちます。

 

そこで糸魚川全体をキャンパスと考え文化交流のコアとして当カレッジがあります。

 

§ 2造園学とは・「人と自然の関わり」から「自然力との共存共栄」へ。

 

 

「人と自然の関わり」

 

都市計画学

 

森林美学  林学   造園学  環境学  森林風致計画学  ジオパーク学

 

観光学

 

「自然力との共存共栄」

 

1800年代・・明治・・大正・・昭和(戦前)・・・昭和(戦後)・・・平成(21世紀)

 

 

大きな木はその街のシンボルの為に。中くらいの木は人々の生活を育む為に。小さな木は虫や小鳥たちの為に。(H. von Salisch 森林美学より)

造園学はドイツの経済学者ザーリッシュ博士により、考案された「美しい森は施業を育む」といった思想で、人と森の関わりに就いて論じられた学問で、持続可能な環境計画として構築されたドイツの経済学です。

明治期に於ける日本林学の創始者・東京帝国大学  本多静六博士 明治の初め日比谷公園の設計者本多静六博士により東京帝国大学農学部に於いて、林学として発展し、やがて造園学として構築されて行きました。 この思想は自然資源を生かした日本の近代化や国立公園思想、観光による戦後経済の復興、更には現在における環境技術大国日本の基礎となる理念です。

 

造園学からジオパーク学へ、知的冒険の旅(東京大学庭師倶楽部最高顧問・磯崎邦夫 )ザーリッシュ博士の発想から時が過ぎ、林学の一部が造園学として発展する事で「人と自然の関り」や「自然力との共存共栄」をテーマとして20世紀の終わりには東京大学旧林学科OB・OGによる『有志団体・東京大学庭師倶楽部』を設、本多静六博士の流れを組む林学者・磯崎邦夫の「学術の実践貢献思想」を元に、盆景から国立公園迄を合言葉として、地方都市の環境資源調査や研究からポテンシャルを見出す研究を実践してきました。

糸魚川ジオパークカレッジ講義内容過去7月の事例

 

§ 3・「保護と利用」「持続可能な環境計画」「環境教育」三本柱が大切です。

 

§ 4・環境には「ハードとソフト」「自然と人文」「正の数値と負の数値」があります。

・環境にはハードとソフト・自然と人文・正の数値と負の数値があります。

ハードだけではなくソフトについても産業資源としてゆきます。

 

§ 5世の中にはMAB計画という手法があります。

守り継承してゆく重要地域と、その恩恵から活用する地域やコミュニティーを形成します。

 

 

 

野外教室開催。(過去8月夏休み野外教室の事例)

7/29・まなそぽーよ+フォレストレンジャー体験

8/4・トレジャーツーリズム①・・・・翡翠さがしの旅

8/5・トレジャーツーリズム②・・・・化石さがしの旅

糸魚川ジオパークカレッジカリキュラム講義内容過去9月の事例

 

§ 6造園学とは遊びをまじめに科学する技術・芸術の心が大切です。

 

§ 6造園学とは遊びをまじめに科学する技術・芸術の心が大切です。

 

§ 8造園学には、MACROMESOMICRO3つの視点があります。

 

§ 9環境解析には物理・心理・史実の三軸を総合して考えます。

 

 

 

糸魚川ジオパークカレッジカリキュラム過去10月の事例

 

§2・テスト

 

卒業論文に向けた小論文の練習をテストとします・・・14までの順でつながりのある文章として、400字以内にまとめてください。(難しい注文なのでうまくできなくても点数は減点しません、特にうまくかけたら加点します)

 

1・糸魚川のmyonlyoneについてつけたいタイトル

 

2・そのタイトルを選んだ背景と目的

 

3・タイトルに対する具体的な題材と人に伝える客観的な方法

 

4・予想される結果や効果や問題点

 

 

§3・環境社会共存学・・・・・・知的冒険の旅から得た糸魚川発ソフト開発

 

事例・大学研究フィールド・こども出前カレッジ・ジオパルイベント・フォレストランド・ジオツーリズム(spiritualadventuretreasure)・等

 

§4・環境社会共存学・・・・・・知的冒険の旅から得た糸魚川発ハード開発

事例・ジオポプリン・古民家廃材玩具・プチジオトープ・探検隊帽子・イハブエ・foxstonejewelry・奴奈川フィギア・古材楽器・等

 

2・ゼミ・・・・・講師・寺﨑(2コマ)

 

ゼミ1・・・・・・・・・・ジオパーク検定に向けた講習会

 

3ジオパーク学・・・・・講師・植(2コマ)

§1・ジオ資源活用論・・・・・・首都圏の小学生に対する糸魚川の供給と提供の事例

§2ジオ資源活用論・・・・・・糸魚川の古民家

 

 

 

糸魚川ジオパークカレッジカリキュラム過去11月の事例

知的冒険の足跡

糸魚川知的冒険の旅博物誌目次

 

序章・「環境資源と研究理念」

 

第2章・「3軸による環境Potential

 

第3章・「四季の調査結果」

 

第4章・「特別調査報告」

 

最終章・「コミュニティーへの提案」